人事部の存在意義

 以前にもブログに書いたが、何しろunizouの会社はジョブローテーションが多く、毎年のように3分の1程度の社員が異動する。社員のほとんどが、2年から3年で異動するというケースが多く、ポストに着くと2年、下手をすると1年で変わっていく社員もいる。
 労働組合も、社員のやる気を奪わないようにするため、「ポスト、ポスト」と叫び続けて、そんな実態を容認している。
 異動の一つは、ベースボールのように、ファーストからセカンド、セカンドからサード、そしてホームベースのような出世コース人事。
 そして、もう一つが、ベースとは関係なく、ある場所を行ったりきたりする人事。
 特に、ベースボール型出世コースに乗った社員は、ほとんどが、若い頃、自分の時間を惜しんで、会社(本当は、上司。そして、力のある上司に目をかけられれば出世コースへ)に捧げていた社員である。
 そして、一旦、そのコースに乗ってしまうと、よっぽどのポカをするか死なない限り、実績に関係なくポストに着いていく。だから、最初が肝心なのである。最初、上司、そして人事部の目に留まったら、減点さえされなければ、何とかやっていけるのである。
 こんな人事をしているわが社の人事部の存在意義は、一体何なのだろうと以前から思っていたのである。こんな人事なら、何も考えなくてもできるし、機械にやらせればいいだろうという感じである。人事部というと、わが社内では優秀な人材が集まって、社員の情報をしっかり握っている部署。そして、何だか偉そうな感じのところという雰囲気がある。
 でも、この人たちがやる「人事」って、一体何の利益を、例えば、消費者に対して?社員に対して?取引先に対して?生み出しているのだろうかと思う。
 昨日本屋をうろうろしていて、そんな気持を代弁してくれる本を偶然見つけた。
 PHP新書から出ている「部下を動かす人事戦略(著者:金井壽宏、高橋俊介)」と言う本である。本屋で立ち読みをして、思わず頷いていたのである。
 本では人事について、「7 社内人事は誰が担うべきなのか」という項でこう書いている。

 「事業目的を達成するのに必要な人を採用し、配属する作業にほかならない。そして、目的を定め達成するというのは、まさしく経営の本質だから、人事の仕事とは単なる人の問題(people matter)だけでなく、経営者のマターでもあるといえるのだ。
 したがって、経営者やライン・マネージャーの仕事のうち、人に関する部分を代行して請け負う、いってみれば彼らと不即不離の関係にあるビジネス・パートナーというのが、人事部の原点なのである。
 ところが、この人事部本来の姿が見失われているケースが、特にここ数年はいろいろな会社で多く見られる。 人事部がラインの人事権をラインの人事権を集約してもつようになったことで、ほんとうならラインの僕としての役割を果たすべき人事部が、いつの間にかラインに対して権力者としてふるまう転倒が起こってしまっているのだ。」

 現場では、実績が評価されるが、人事部は、配属の工夫で評価されることは一切ない。
 配属してしまえば、「現場の責任」ですべてが終わってしまう。
 社員も、別に自分がそのポストにどうしても必要とされたわけでもないから、よっぽど奇特な社員を除いては、そこそこの仕事しかしない。
 この本を、わが社の人事部の誰かが読んで、思い切った人事をしてくれたら、拍手喝采なのだが・・・。人事部の入口に、わざとらしく、落としておこうかとも思ってしまうのだが・・・?