スルツカヤ 

 トリノ冬季オリンピックが終わってから、ずいぶんと時間がたった。
 女子フィギアスケートで荒川静香選手が、オリンピックの最後の最後に日本でたった一つの金メダルを取って日本中を湧かせたのも、何だかずいぶん前のことのような気がする。
 それでも、荒川選手は、その余韻でいろんな番組に出演している。
 金メダルを取った偉大さにから学ぶことはもちろん多いし、金メダルを取ったがゆえに彼女の栄光と挫折にスポットが当たられ、彼女の今までの人生に学ぶことも多い。
 しかし、人の心は移ろいやすいもの。彼女の一挙手一投足に注視しているようで、時の経過とともに、また、世の中の人の心は目新しいものに心奪われていく。
 マスコミは、フレッシュなうち、彼女で視聴率が稼げる、○○が売れるうちにと、彼女を利用する。
 もちろん、賢い荒川選手だから、そんなことで今までの人生で築いてきた確固としたものが変わっていくことはないと思うが・・・?
 そして、一方、unizouが気になったのが、優勝候補といわれて3位になったロシアのスルツカヤ選手。
 優勝を逃し、インタビューを受けて言っていた言葉から、人生の奥深さを学んだ。
正確な言葉ではないが、「人生は、思い通りに行かないものですもの・・・」と彼女はインタビューに答えていた。
 スルツカヤ選手も金メダルという栄光を勝ち取るために、荒川選手や他の選手と同じように、努力してきただろうし、実績からいって金メダルに一番近い選手だったのだろう。
 普通であれば、悔しさと金メダルを取れなかった落胆で、これで人生が終わってしまったかのような表情をしてインタビューに答える選手が多いと思う。
 彼女も「悔しくない」はずはないと思うし、落胆していないわけもないと思うが、そこで、たった一言「人生は、思い通りに行かないものですもの・・・」と言った。
 unizouは自分の人生に投影して、結果は別として“がんばろう”という気にさせられたのである。
 何日か前に、読売新聞の“よみうり寸評”で、パラリンピックのことを取り上げていた。
 吉田兼好徒然草で【友として悪き者】の七つのうちの一つに、【病なく身強き人】を挙げていると言う。【病知らずは、弱いものへの思いやりがない】ということらしい。
 私たちは、つい、強いもの、正しいものに思いを寄せるが、人間の心は奥深く、人生の味わい方も、一面的にならないようにしなければいけないと思う。
 特に、勝ち負けは、時の運でもあり、そのことに一喜一憂していては、これから続く長い人生に憂いを残すことにもなりかねないのである。