引き際の美しさ2

 ここのところ、撤退話が新聞紙面を騒がせている。
 ①「ビューカム」ヒットも思い出…シャープ撤退、②TDK…記録型CD/DVDの生産から撤退、③コニカミノルタ…カメラ全面撤退というように、いずれも大企業の有名商品ばかりだ。
 各社どんな引き際を見せているのだろうか?次のように報じられた。
 まずは、シャープ。
 シャープは3月6日、デジタルビデオカメラの生産を終了し、同事業から撤退したことを明らかにした。1990年代に、カラー液晶画面を見ながら撮影できる「液晶ビューカム」が大ヒットしたが、最近は競争激化で販売が低迷していた。
 「液晶ビューカム」は、ファインダーをのぞきながら撮影する従来の撮影方法を一変させ、1992年の発売後、約2年間で生産台数が100万台に達し、国内市場で20%以上のシェア(市場占有率)を握った時期もあった。しかし、最近は他社がDVD(デジタル多用途ディスク)やハードディスクを記録媒体とする新製品を発売する中、商品開発に出遅れ、2005年4月から現行機種の生産を中止していた。
 次にTDK。
 3月8日、TDKは記録型のCDとDVDの生産から撤退すると発表した。これに伴い、ヨーロッパにある製造部門を2006年5月末をめどに閉鎖する。記録型CD/DVDの急速な価格下落で事業が悪化した。
 今後、汎用タイプの記録型CD/DVDに関しては社外へのOEMに移行。次世代DVD規格のBlu-ray Diskの研究開発は引き続き千曲川テクノ工場(長野県佐久市)で行う。
 今回の記録型CD/DVDの生産撤退で新たに発生する費用は約80億円。これに伴い、2006年1月30日に公表した第3四半期決算発表時の当期連結業績予想を下方修正した。
 そして、コニカミノルタ
 精密大手のコニカミノルタホールディングスは1月19日、カメラ事業から今年3月末までに全面撤退すると発表した。写真フィルム事業も2007年9月末までに生産、販売を終了する。国内の大手カメラメーカーがカメラ事業から全面撤退するのは初めてだ。
 同社は、1873年創業のコニカと1928年創業のミノルタという老舗カメラメーカーが2003年に経営統合したが、急速なデジタル化への対応の遅れと競争激化でカメラ・フィルム両部門は赤字に苦しんでおり、有力ブランドが姿を消すことになった。
 デジタル一眼レフカメラ事業は提携先のソニーに事業譲渡する。
 事業撤退に伴い、早期退職者500人の募集やソニーへの転籍などでグループ従業員の1割強にあたる3700人を削減する。
 いずれも、かつてその企業の看板とも言える事業からの撤退であるゆえ、第一報を聞いたときはいささか驚いた。
 決断に至るまで、各社、熟慮に熟慮を重ね、大変なものであっただろうと推察する。
 将来この決断を振り返ったときに英断であったと思えるよう、各社の今後に期待したい。