2007年問題

 最近2007年問題という言葉をよく耳にする。
 2007年から、1947年前後に生まれたいわゆる「団塊の世代」が60歳に到達し始める。   
 内閣府の「高齢社会白書」によると、現在、日本の企業の約9割が定年制を定めており、うち大半は定年年齢を60歳に定めている(65歳定年企業は6.5%に留まる)ため、仮に企業の定年制度が現状のままなら2007年から2010年にかけて大量の定年退職者が出ることになる。それが「2007年問題」だ(http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2005/zenbun/17index.html)。
 日本はここ数年、「2007年問題」 と「超高齢社会」(4人に1人が65歳以上の社会、日本では2015年に到来すると予測されている。)に対応すべく、諸制度や社会の仕組みを変えてきつつあるが、現実的に人口減社会に突入するといった事象に直面しないと、それこそお尻に火がついてみないとなかなか世間では注目されない傾向にある。
 その一つに、平成16年6月に成立し、この18年4月から施行される「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律」、通称「改正高年齢者雇用安定法」がある。   
 昨日の読売新聞朝刊でも取り上げられていた。
 法は、企業に対し平成25年4月1日までに「①定年年齢を65歳に引き上げる」か、「②定年を廃止する」か、あるいは「③定年退職者のうち希望者を嘱託等の身分で引き続き雇用する継続雇用制度を導入する」か、いずれかの対策を採ることを義務づけ、少なくとも年金支給開始年齢までは働き続けることができることを法制化ししている。
 厚生労働省は、雇用の安定面から①や②の選択肢を採る企業が増えることを期待するも、厚労省が社員300人以上の企業を対象に行った調査では、①か②を選んだ企業は、6.4%、大半は労使協定で基準を設ければ対象者を選別できる③で対応すると答えているという。
 一方、全従業者数全体の70%が勤務する中小企業では、改正の周知が不十分との課題も指摘されているという。
 2007年問題で喪失する恐れのある技術やノウハウはたくさんあるだろうし、やる気のある高年齢者の雇用の法的安定性を確保することも必要だ。年齢に関係なく意欲と能力を持った人が働ける環境を整備することは、労働力人口が減少すると言われる中では当然必要なことである。だからと言って、職業観、人生観はあくまで人それぞれゆえ個人差がある、労働者からすれば、画一的に65歳で縛られることに抵抗を示す者もいるだろうし、雇用者からすれば、クビにしたい社員まで法で守る必要はないと考えるのも至極当然だろう。
 本法が真のニーズに答えられるように運用されることを切に望む。