「右腕」養成コース

 中小企業において、「右腕(企業経営上、代表者が最も頼りにしている人材)」の存在は大きい。
 「中小企業白書2005年版」の第3部「日本社会の活力と中小企業」の第2章「中小企業と人材を巡る諸課題」で、第4節「経営者を補佐する人材」と題して右腕が詳しく取り上げられていた(http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h17/hakusho/index.html)。
 経営者は、企業の今後を左右する重要な決断をしなければいけないが、経営上、もっとも頼りになる「右腕」となる人材をおくことによって、経営者が誤った判断をしたとしても誤りを正すことが可能になる。
 また、経営者に足らないものを「右腕」が補うことによって、経営に対しても良い影響を与えることになる。
 「右腕」の有無によって企業の成長に違いがあるのかを見てみると、「右腕」がいる企業の方が従業者数増加率が高く、過去の調査でも、「右腕」が存在している企業の方が成長することが確認されているという。  
 事実、人材の確保が困難な中小企業においても、過半数の企業で「右腕」が存在しているのだが、いったいどのような人材を「右腕」として登用しているのだろうか。
 「右腕」と経営者との関係を見てみると、規模が小さい企業ほど経営者の子供が「右腕」になっている割合が高い。
 そこに目をつけたかどうか知らないが、名古屋学院大学商学部では、新年度から「社長養成コース」を開設するという(http://www.ngu.jp/index.php)。
 そもそも名古屋学院大学には、企業経営者の子弟も多く、地元では「お坊ちゃん学校」のイメージが定着しており、OBの企業経営者からは、「子供を後継ぎにするための修行の場がほしい。」との要望が出ていたそうだ。
 そこで、将来の社長を養成するエグゼクティブコースを設置、教養、語学、国際的センス(留学)、専門知識から精神力、人脈づくりに必要なスキル、社会や政治に関する認識まで、「企業経営者」に必要なアイテムは全て修得可能とする。
 乗馬・ゴルフが必修科目というから驚きだ。
 「小規模企業経営者の引退に関する実態調査(2003年)」によると、経営者をやめた際の事業の整理方法は、廃業・清算した割合が81.9%、他の人は企業に譲った割合は、18.1%となっている。つまり、廃業・清算した81.9%の企業は後継者となる者がいれば、事業の継続が可能であったとも考えられる。
 その意味で、後継者の確保の必要性は大きく、後継者候補としての「右腕」をちゃんと作ること、これが継続企業の強みの一翼を担っているといえよう。