クレジットスコアリングモデルと擬似資本

 中小企業経営・中小企業政策の中で、中小企業の資金調達のあり方を学習した。
 その中で、unizouの興味を引いたのが、クレジットスコアリングモデルと擬似資本。
 クレジットスコアリングモデルの特徴は、

  • 統計的手法を使った倒産確率等により、融資審査を行う。
  • 貸出案件ごとに融資を決めるのではなく、大数の法則に基づき貸出債権をポートフォリオ全体でリスク管理する。
  • 短期間で融資審査が行われる。
  • 貸出額に限度制限がある。
  • 金融機関においては、審査コストの削減が図れる。

 クレジットスコアリングモデルを利用した貸出商品を、クイックローンという。
 では、どんな企業が使っているのか?
 クイックローンを現在使っている理由の1位と3位が、「借入手続きが簡便(58.1%)」、「審査期間が短い(48.9%)」。そして、第2位が「金融機関からの勧め(52.2%)」【中小企業庁「資金調達環境実態調査」】
 この「金融機関からの勧め」という消極的な理由が第2位とは、一体どういうことだろう・・・?
 金融機関も闇雲に融資を持ちかけているの?
 企業もとりあえず貸してくれるから借りる・・・的な発想?
 でも、借りたからには利息をつけて返さなきゃならんでしょ、一応は。
 金融機関の怠慢が手に取るようにわかる。めんどくさいんだな、きっと。
 企業も、財務的な視点で考えていないだろう。在庫と同じで、あればあるほど負担になってくるのに・・・。
 でも、ポートフォリオ全体でリスク管理するというのであれば、手間隙かけて、企業の新規事業を審査して、ハイリスクハイリターンの企業に融資するケースが一つや二つあってほしい。個人の資産管理でも、ポートフォリオ設計が言われているのだから、金融機関だって同じだと思う。企業の経営実態や消費者の動向に敏感な優秀なバンカーがいないと無理な話ではあるが・・・。
 そして、もう一つの擬似資本*1について。
 これは、unizouが、10年以上も前に実際に経験したことのある内容。
 融資をしている金額分の小切手を預かり、期限になるとその小切手の額面を、利息分だけ増やして毎年書き換えてもらっていた。
 そこは、老舗の造り酒屋だったが、低価格の日本酒や豊富な他の酒の流通などにより地酒の低迷(unizouは、選挙のやり方の変革もあると思う。昔は、酒が良く出回っていた。)のせいで、業績が悪化していた。
 本来であれば、融資すべき案件ではないが、地元の産業としては、大きなものだったのだろう。やめるわけにはいかない事情があったのだ。
 しかし、こんな形で業績が悪化していなくても、短期借入金が毎年同じ金額で推移しているというのは、いくらでもあった。
 それを、擬似資本というなんて、まさに、ぴったりの言葉だと思う。
 この問題の本質は、資本の増資を容易にできない中小企業が、安易に金融機関に借り、金利を払っていることで、経営を悪化させてしまうケースがあることだろう。
 やはり、これも、中小企業の定性的な特徴の「所有と経営の非分離」「資金調達の非公開性」ゆえなのだろうか。

*1:日本の中小企業では銀行借入が資本金のように認識されていたという。銀行借入は、必ずロールオーバー(自動的に決済を繰り延べ)されていたため、資本のような認識だという。