中小企業と消費税

 昨日7時半から放送されたNHK総合テレビ「日本の、これから『本当に増税しかないのか』−第1部−」を、後半部分から見た。

国と地方をあわせた借金は平成18年度末には775兆円に達する見通しです。これはGDPの1.5倍にも及び、戦後どの国も経験したことのない危機に瀕しています。こうした中で政府は、来年度には定率減税を全廃、今年から消費税の引き上げも含め税制改革の議論が本格化します。

 参加者の数人の方が、「景気が悪くて消費税を消費者に転嫁できない。」「零細企業では、消費税を転嫁したら、買ってもらえない。だから、自分のは懐からやりくりしている。」と話していた。
 また、景気が悪くて、借金を苦にして死んでいった身近な人間が、ここ数年で何人もいるとも・・・。
 unizouも、一人の人間としては辛いことだと思う。
 増税論議については、「税の使い道をきちんとしてから、・・・」という意見もある。
 しかし、情報公開制度が13年4月から導入されて丸4年を終え5年目に入っているが、一時の熱は冷めたかのように、そこから得られる情報は少なく、税の使い道をきちんとするため、そして責任者に責任を取らせるための伝家の宝刀も鞘に収まったまま。
 ディスクロージャーにより国から出される情報だって、ちゃんと吟味されているとは言えない。国の機関も、きっと、当初の緊張感は消え、「何だ、大したことなかったじゃない・・・」という感じでふんぞり返ってしまったのではないかと危惧している。例えば、こんな事件もあった。

「旅費過払い1886万円 財務省、113人を処分」
財務省は28日、国税庁や地方の財務局、税関で、不適切な請求や手続きミスによって、出張時の航空旅費を過払いしていた事例が1221件、合計1886万円あったと発表した。
 今年3月に会計検査院の指摘を受け、過去5年間の航空旅費の請求書を調査した結果、判明した。過払いのうち、不適切な旅費請求をしたケースが579件、1109万円あり、財務省は不正請求した113人を国家公務員法や内規に基づいて処分した。
 財務省は「予算の適切な執行を確保すべき財務省で不適切な(旅費の)請求が行われていたことは誠に遺憾で厳粛に受け止めている」(会計課長)と謝罪した。

 もちろん、こんな瑣末な話だけではないだろう。
 情報公開制度をきちんと活用して、国と国民がいい意味の緊張関係を保ちながら、この国の舵取りをしていくことは、両者の義務であり責任であると思う。
 そういった税の使い道をきちんとすることは当然のこととして、中小企業の皆さんには消費税について、是非考えていただきたいことがある。
 一つは、公共事業費が諸悪の根源のように言われているが、それを求めてきたのも、地方の中小企業であることも事実である。
 中小企業という括りにするのはどうかと思うが、国民全体が、景気を良くするために、直接的なばら撒き行政である「公共事業」を望んできたのである。
 そして、国民があまり考えもせずに望んだことを、議員も官僚も、本来の役目を忘れて、いい子になって配って回ったのである。議員は票のため、官僚は自分が直接出すお金ではないから・・・。
 地方の建設業者がよければ、地域全体が潤っていたのである。地域全体が、その恩恵を、何の努力もしないで受けてきたのである。
 そういった長い間の付けが、今の借金財政の根幹にあることも事実である。 
 だから、中小の企業の人たちが文句を言っても天に唾するようなもので、自分に唾するようなものだ。
 そして、もう一つは、今の消費税の仕組み。これも、中小企業の人達が大いに関わっている。
 食料品非課税など、生活必需品への非課税は、低所得者の人にとっては、重要なことかもしれない。
 しかし、これも、きちんとした仕組みを作らないと徴収コストが増えて機能しない。そのことに、中小企業の人達が耐えられるのか?消費税導入時のインボイス方式導入反対の声も、事務負担増や財布の中身を丸ごと見られてしまうことを嫌った中小企業の声が大きかったと聞いている。
 生活必需品の概念も難しい。たかが、しょうゆに何千円も何万円もかける人もいる。低所得者だって、高級な車が欲しいといって、それ以外のことは我慢して、お金を貯めて買うような人もいる。これだけ、嗜好が多様化しているのだから。何が、贅沢で贅沢でないかなんて、嗜好の問題になってくる。
 消費税の食料品等に対する課税については、「『食料品等に対する軽減税率の導入問題』税務大学校研究部教授郄田具視」に詳しい。http://www.ntc.nta.go.jp/kenkyu/ronsou/46/takada/hajimeni.html
 unizouは、今の財政状況を作ったのは国地方公共団体の議員や役人だけではないと思う。 国民も被害者ではあるが、加害者でもある。
 何でもその場しのぎで、お金で豊かさが買えると、それを望んで喜んできたのも事実なのだから。
 本当にかわいそうなのは、これからの子供たちである。何の恩恵も受けずに、責任ばかり取らされることになるのだから・・・。
 国や地方公共団体を当てにしないで、商売をしましょう!
 税が公平に徴収されること、使い道が納得できること、そして、自由な社会であること。
健康も、どうしても医療機関のお世話にならなきゃいけない人を除いて、できる限り自分でメンテナンスをするなど、行政に頼らないようにする。
 ただし、国には、住むところにかかる費用や教育費が安くなるようにだけして欲しい。
 必要もない土地を持っているとつらくなる税制にし、国の将来を支える子どもに教育をしっかり受けさせられるように。
 最後に、経営に行き詰って、死を選んだという人には気の毒だが、中小企業の皆さんは、再起が可能な状況で撤退して早めにやり直す勇気も是非持ち合わせて欲しい。
 死を選ぶことなんて必要ない。
 行政に頼らずに、独立独歩の精神で生きていけるようにするのが、大事なことだと思う。