スーパー老人2

 先日、日野原重明氏のことを書いた。
 そのときは、まだ現役の社会人らしく!?「時間の集中的な使い方」について書いたが、もう1つ感心したことについて書こうと思う。
 それは、「老いは成熟」だということ。
 まず、健康長寿の心得として、孔子の「論語(為政編)」になぞらえて、各年代ごとの生きる指標を掲げていた。

60歳〜…人生の後半開始、腹八分、筋力をつける
70歳〜…新しいことを創める、腹七分
80歳〜…よく歩き、若い者に好んで接する。
90歳〜…心の赴くままに行動し、道理に違わず
100歳〜…よい友をもち、あるがままに生きる

 孔子は、

子の曰く、吾れ
 十有五にして学に志す(わたしは十五歳で学問に志し)。
 三十にして立つ(三十になって独立した立場を持ち)。
 四十にして惑わず(四十になってあれこれと迷わず)。
 五十にして天命を知る(五十になって天命(人間の力を超えた運命)をわきまえ)。
 六十にして耳順がう(六十になって人の言葉がすなおに聞かれ)。
 七十にして心の欲する所に従って(七十になると思うままにふるまって)、
 矩を踰えず(それで道をはずれないようになった)。』

 と70歳までのあり方を説いている(日本語)が、日野原版は、その現代版と言ったところか。
 94歳の日野原医師は日々やりたいことに邁進している。
 今取り組んでいるのは、90歳の時に始めた新しい研究で10年間で結果が分かるというもの、あと7年しないと結果がでないため、そこに目標を据えているという。
 日本は、本格的な高齢化社会に突入し、新聞紙面でも健康や介護を問題にした記事がよく目に止まる。こと介護問題については、認知症であったり、介護者自体の高齢化など重くのしかかる内容のものも少なくない。
 そのような中で、次の日野原医師の言葉に勇気付けられるお年寄りも多いのではないだろうか。
 「老いるということは、ただただ年をとってしなびてくのではなく、人間的に成熟するのだと。心の充実感をもつことができれば、体が弱って行動はゆっくりになっても内なるものが豊かになることでさわやかな気持ちになる。年を取っても成長しつづけているんだという気持ちを是非持ってほしいですね。」
 「やりたいことがある。」そして「やらなければならないことがある。」、この2つはどの世代にあっても自分を突き動かす原動力のような気がする。