白鳥は哀しからずや・・・

 白鳥は哀しからずや空の青 海の青にも染まずただよふ
 若山牧水の短歌である。
 小学生の高学年のときに担任の先生に教わってから、いつも心にあり、口ずさんでしまう。
 この歌を思い出すときは、なぜか、その情景がすっと浮かんでくる。
 どんな情景かというと・・・
 空も海も藍色になり、寒々しささえ感じる北国の海の夕暮れ時、空も海も白鳥の心を慰めてくれさえしない。そして、白鳥の純粋さと孤独だけが、際立つ。
 この歌がどうして忘れられなくなったのか?
 その当時、unizouが純粋で、社会に対して孤独感を感じていて、白鳥と自分を重ね合わせていたのだろうか・・・。
 今では、その当時のことはよく覚えていないので、はっきりしたことは言えない。
 しかし、この歌を知ってからずいぶん経つが、今でも、「周りにたくさんの人がいても、例えどんなに親しい間柄の人が近くにいても、共感できても同化できない・・・。すべての人が孤独を感じながら生きている。」と、この歌を思い出しては、自分だけが孤独を感じるわけではないと言い聞かせるようにしている。そして、いたずらに仲間を求めようとせず、同化はできなくても、本心からその人の喜び、痛みや苦しさに共感できるようにしたいと思う。
 unizouは、どんなに周りに人がいても、孤独を感じることがあるのは、一人で生まれ一人で死んでいくという人間の宿命ゆえだと思っている。
 だから、この歌を思い出しては、自分の頼りなさを戒めている。
 でも、世の中を見ると孤独に耐えられない人が多くなったような気がしてならない。
 いたずらに群れを成すのは、孤独に耐えられない反動ではないかと思っているので、一人でいられない人は、きっと孤独に耐え切れずにむやみに仲間を作って、ただ一緒にいるだけなのだろうと思う。
 集団自殺が多くなっているが、その人達もきっと、「孤独」に耐え切れず、最後は無理やり仲間を作って死んでいく。
 でも、孤独に耐え切れない人は、身近にもいる。例えば、組織の管理職。
 やたらに、下を誘って、飲ミュニケーションを取りたがる。
 仕事にもプライベートにも何の役にも立たない自慢話と説教をして、虚構の仲間を作って満足している管理職もいる。
 管理職になれば、部下に公平に接し、それぞれの部下の個性を束ねて組織の成果を発揮していかなければいけないから、孤独なのは仕方ないこと。それに耐えられる人に、管理職になってほしい。仲良しクラブにだけはしないで欲しい。

 若山牧水の短歌から会社の話になってしまった・・・。
 昨年の暮れ、日ごろ親しく話をさせてもらっている会社の中を掃除してくれているおばさんから、自分で作った俳句集をいただいた。
 自分で作った俳句を毛筆で書き、挿絵も自分で書いて本にしたものである。
 じっくり読むことができていないのが申し訳ないのだが、いずれ、デジタル化してCDにしてあげられないかと考えている。
 俳句も短歌も、短い五七五、五七五七七の中に、その情景が浮かんでくる。写真にはない情感も一緒に届けてくれる。本当に、いい趣味だと思う。
 診断士の勉強をして記憶力の衰えを感じているのに、短歌や俳句を覚えている記憶力に戸惑いを感じるが、記憶力復帰も兼ねて、見るものすべて俳句や短歌にしてみようかな・・・?