心のバリアフリーⅡ

 先日、社内研修で、手話通訳士で、NHK教育テレビ「手話ニュース」のキャスターとしてご活躍中の中野佐世子(なかのさよこ)氏による「はじめの1歩」と題した講演を聞いたときのことを書いた。
 そして、昨日は、そのことに関連してアメリカ社会での障害者に対する有り様を書いた。
 中野先生の話は、“障害者”に対する私たち健常者の有り様と捕らえがちだが、unizouはそれだけではないような気がしている。
 どんなことかというと・・・。
 unizouの会社にも、かなりメンタル面でストレスを抱え、休みがちになったり、実際にしばらく休んでしまったりしている人がたくさんいる。
 聞くところによると、多くの企業でそういった人達は増えているのだそうだ。
 採用されたときは、特に問題もなく働いている人達が、何かのきっかけでメンタルを病んで、内にこもってしまう。
 一体そのきっかけは何か?
 最近、unizouの周りでも、このままいったら、もしかすると、精神的におかしくなってしまうのではと思うYさんがいる。
 Yさんは、ほんとに一生懸命仕事をこなしているが、上司は、それを当たり前だと思っているし、どれだけの量をこなしているかも、どんな内容の仕事をしているかも把握していない。
 つまり、新たに負荷する仕事を指示するだけで、それにかかる仕事量も、今までの仕事の分量も、全体的な仕事の内容も把握していない状況である。
 短的に言えば、実質は“無関心”なのである。上司もいろいろ忙しすぎて、無関心なのに 知っているかのようにしていろいろ口を出す。
 先日、そんな状況の上司にぼろが出た。事務の改善作業を本社から命じられていて、各支社単位で提出することになっているのだが、その作業でYさんがやっていて回っている仕事を、上司はYさんがやらなくても終わっていると思っていたことが発覚したのだ。つまり、上司はその事務がどんな風に回っているのか知らなかった。
 今まで経験した職場でも、そんな状況は良くあった。
 管理者もそうだが、先輩も同僚も、そして後輩も、自分のことで精一杯なのである。
 例えて言えば、隣の人が風邪を引いていることさえ気づかない人が多いのだ。「ゴホン、ゴホン」としている風邪でさえ気付かないのに、心が疲れているのをわかるはずもない。
 そういったことがわからなくても、先輩、同僚、後輩なら、人間的には問題があるが職務的には仕方がない。
 しかし、管理職はどうか?それで、給料をもらっているのだから、大問題だ。管理職の仕事をしていない人間が多すぎる。そして、仕事という面だけでなく、人間性のかけらもない人が多い。そんな上司を誰が尊敬できるのかと思う。出来れば、管理者として中小企業診断士試験「企業経営理論」の中の「組織論」をしっかり学んで欲しい。それに、一芸に秀でているから管理職になられたのでは、たまったものでない。その一芸も時代錯誤で、研鑽を積むことをしないから陳腐化して、今では何の役にも立たないのに・・・。
 管理職に対するグチになってしまったが、言いたいことは、職場だけではなく、周りの人達に少しでも関心を持ってくれたら、メンタル面で病むような人はいなくなるということだ。どんな苦しみやつらさを抱えているかわかってあげるだけで、人は救われるのだと思うから。
 中野先生が最後に言ったマザーテレサの言葉、「やさしさ(愛)の対極にあるものは、憎しみではなく無関心である」という言葉は、障害者に対してだけでなく、私たちが日常生活で周りの人達と一緒に生きていくために必要なことだと痛感している。
 unizouも含めて、人間はほんとに弱い存在なのだから・・・。