みずほ証券 誤発注 損失300億円

 8日、みずほ証券は、東京証券取引所新興市場マザーズに同日新規上場した総合人材サービス業ジェイコムの株式を、誤って大量の売買注文を出し、「損失は現時点で270億円。1000億円程度に膨らむ可能性がある」という。
 えっ!入力操作のミスで、300億円から1000億円もの損失。
 どのメディアも、誤発注を防止するためのシステム、担当者の緊張感の欠如と内部のチェックシステム、みずほ証券東証の情報公開の不手際などに話題が集中している。

 株自体の本来の価値を置き去りにして取引が行われている実態を問題視しているメディアは、少ないように思う。こんなことでは、まるで、馬券を売り買いしているようなものだ。
 最近は、ネットを利用したディトレーダーなる人たちが多く存在するという。そして、そういった人たちをテレビで取り上げられることが多くなった。小学生や中学生までもが、株の売買を通した社会勉強だと称して、株取引をネットでやっているという。
 社会勉強というお題目はいいが、単なるマネーゲームではないのか?こんなことを、はやし立てるマスコミもどうかしてる。
 これは、経済でもなんでもない。労働の対価なくして儲けるしくみに、unizouは、どうしても納得できない。

 ずいぶん前になるが、ヤクルトで資金運用責任者だった熊谷直樹元副社長が、デリバティブ金融派生商品)を使った資金運用で1000億円を超す巨額損失を出したということがあった。金銭感覚が麻痺しているとしか思えない。
 ヤクルトレディーが、ヤクルト1本を売ってどれだけ利益がでるだろう?
 その積み重ねで、億単位の利益が出ているのだろうが、本当は気の遠くなるような金額なのに、一瞬で泡と消えたのである。
 今回の件にしても、みずほコーポレート銀行などのグループ企業が支援するそうだが、穴埋めする巨額のお金だって、従業員が汗水たらして稼いだり、汗水たらして稼いだお金を投資している人たちの実態のあるお金。
 ところが、損失の裏側に万馬券を買ったように儲ける有象無象の衆がいるのだ。
 どうしても、担当者のせいばかりにできない気持になる。

 そんな気持でテレビを見ていたら、TBSの情報番組「ブロードキャスター」で作家の石田衣良さんが、「損失の裏側で、儲けた人がいるのだから、捨ててあったものを拾った人が交番に届けるように、返してあげたらいいのに。」という発言をしていた。
 もちろん、ミスをしないことが一番だけど、石田さんの言うように、儲けた人がほくそ笑んでるような世の中になっていくほうが、空恐ろしい。
 それに、担当していた人が、自分のミスでそうなったことを、一生背負って生きていくのだとしたら、何だかやりきれない気分になっていく。
 心ある人たちが立ち上がって、何とかこの事態を収拾してくれないだろうか。

 私たちの住む世界は一体どっちの方向へ向かって進んでいくのだろうか?
 少しの過ちでさえも許されない、窮屈で卑屈な世の中に進んでいくとしたら、何だか、生きていくに値しない世の中になってしまわないかと不安になる。
 システムは、便利なものかもしれないが、所詮人間の幸福のためにやっているのなら、無機質なシステムでなく、人間の息吹を吹き込んだシステムにして生かすべきではないかと、 今回の件でunizouは深く考えさせられた。
 そして、中小企業診断士になれたら、製品とサービスで消費者を喜ばせてくれる企業を、その企業に夢をかけて投資してくれる投資家と一緒に応援したいと思った。