ドラッカリアン

 11月6日に「P.F.ドラッカー」というタイトルでブログを書いた。
 そのときは、氏の現況を知る由もなかった。
 不思議なことに、11日にそのP.F.ドラッカー氏は死去した。
 中小企業診断士の資格を取得するために勉強をしていて氏を知り、興味が湧いてホームページを検索したのだが、その名言録を読んで本当に親近感と尊敬を感じた。
 何かの因縁を感じるのは、考えすぎだろうか?

 12日の読売新聞には、「ピーター・ドラッカー氏死去 『人が主役の』経営提唱」という記事で、氏の業績が紹介されていた。
 記事の内容はこうである。

 11日に死去した米経営学者、ピーター・ドラッカー氏は、「近代経営論の父」として、世界の経営者から尊敬を集めた。ソニー共同経営者の故盛田昭夫をはじめ、古くから日本の経営者と親交を深めた知日派として知られる。日本型経営にも通じる「人を大切にする経営」を提唱し、日本の経済人などに信奉者は今も多い。
 今月9日には、学者や経済人が集まり、ドラッカー氏の業績などを研究する「ドラッカー学会」の発足準備会合が都内で開かれた。ドラッカー氏からも学会の発足を祝うメッセージが寄せられたばかりで、突然の訃報に経済界から惜しむ声が上がった。
(中略)
 「断絶の時代」などドラッカー氏の著書を多く翻訳し、親交の深い上田惇夫ものつくり大学名誉教授は、多くの経営者を引きつけたドラッカー氏の魅力について「一貫して産業人はどうすれば幸せになれるかを追及してきた視点だ」、と分析する。利益優先でなく、従業員などを含めた利害関係者の幸せを重視する考えが、日本の企業経営にも大きな影響を与えたのは間違いない。
 富士ゼロックス小林陽太郎会長やファーストリテイリング柳井正会長兼社長など、多くの経営者がドラッカー氏に共感し、こうした人たちは「ドラッカリアン」とも呼ばれる。
 一方でドラッカー氏は、日本でも急速に広がってきたM&A(合併・買収)や株式売買による利益追求厳しく批判し、最後まで「人が主役」の企業経営を説き続けた。

 なんて、すばらしい人なんだ。中小企業診断士の資格のための勉強を始めなかったら、こんなすばらしい人を知ることもなかった。
 ドラッカー氏が言っていることは、人間のやっているすべてのこと、もちろん経営も、「最終的には、自分を含めた“人間”を幸せにすること」だということではないのだろうか。そうでなければ、「天に唾する。」ことになり、そのときは良くても、いずれ人間たちに不幸や大きな代償を求めることになるのだと思う。

 最近社会問題となった「アスベスト」、しばらく前であれば、HIVを引き起こした「血液製剤」の問題など、経営者や官僚が経済的な利益のみを追求して判断しなければ、きっと、もっと違う結果になったのではないだろうか?
 いずれにしろ、中小企業診断士の勉強をしたことで、資格取得以上のものを得たのは事実である。今日から、隠れドラッカリアンとして、端っこに加えてもらおう。氏に感謝。そして、合掌。