ABOUT SCHMIDT
先日主催したライフプランニング研修で、S先生が話題にしたジャック・ニコルソン主演の「ABOUT SCHMIDT」をDVDで借りて鑑賞した。
ジャック・ニコルソンが演じるウォーレン・シュミットは、66歳。
一流と呼ばれる保険会社で計理士として働き、家庭でも妻と一人娘に囲まれ、男として誇るべきそれなりの人生を築いてきた。
そして物語は、定年退職を迎える日から始まる。
仕事以外に生きがいのなかった彼に次々と起こる転機。
定年退職、妻との永遠の別れ、娘の結婚。
自分の存在とは?
人とのつながりは?
自分の人生の意味は?
人生の終盤近くで、生涯をかけて築いてきたものを失いかけた男。
ジャック・ニコルソンが、おかしく、もの哀しく演じている。
自分のため・・・?
妻・夫のため?
家族のため・・・?
いずれ、子は親離れする。だから、親も子離れをしなければいけない。
配偶者だって、いずれは、どちらかが先立つ。
夫婦が仲が良いなんて考えもんなんだよ。仲の悪い夫婦なら、片一方が死んだら、正直なところ、万々歳なのよ。そういう亭主は、死んだら確実に女房を楽にする。全く功徳よ。女房に手をやいてる男もそうさね。葬式の時、ともすれば、顔がほころんじゃったという男を僕知ってたもの。ところが、仲のいい夫婦は気の毒だよ。欠落感がひどいから。そう考えると、人生どっちに転んでも同じだね。
【曽野綾子著 「失敗という人生はない」:P23人生に失敗ということはない 新潮文庫】
もちろん、夫婦仲が悪いことを勧めているのではない。
どんな状況になっても、一人で生きていかなければいけないのだ。
もちろん、“一人ぼっち”という意味でない。一緒に同じときを過ごしている人たちと、関わり合いながら、生きていくことになる。
「あなた方も、このように苦労して、弱い人を助けなければならないことと、また、主イエスズご自身が、『受けるより与えるほうが幸いである』と仰せになったことばとを、心にとどめておくように、わたしはいつも模範を示してきました。」
中略
ここに語られていることは、極めて普遍的な真理である。人間が、自分が生きるに値するかもしれないと自ら思えるのは、受けるときではなく、与える時である、というのは心理学の明白な答えである。
【曽野綾子著 「心に迫るパウロの言葉:P18 百八十度の心の転換 新潮文庫】
家族、会社、もちろん大事だ。
しかし、自立した精神の中で、自分に与えられたものを生かしていく。
その時初めて見えてくるものがあるような気がしている。
中小企業診断士の資格取得もその一つだし、生け花も・・・。
映画のラストは、チャリティー団体の勧めでなった里親制度の里子からもらった手紙を読むシーンで終わる。