これが中小企業の生きる道

 今日は、支店のバリアフリー施設の改善のため、中小企業?(失礼)のK社長と一緒に支店を2つ回る。
 K社長とは、昨年の今頃だったと思うが、K社長が営業で回ってきて知り合いになった。
 それまで、unizouは支店のバリアフリー化は十分だと思っていたのだが、K社長は「バリアフリーの質が問題なんですよ。」と教えてくれた人物で、「できれば一緒に支店の実態調査をして、改善プランを作ってくれませんか。」と頼んでいた。
 今回、こちらの都合で1年後の今、やっと一緒に回ることができたのである。

 K社長と一緒に支店を回って、目から鱗のことばかりで、unizouも支店担当者もかなり勉強になった。本当に一緒に回ってもらってありがたかった。

 一年ほど前にこの話を持ちかけたとき、K社長には「作っていただいた改善プランが、予算のこともあり採用されるとは限らないので、無駄足になることも了解しておいてください。」と伝えた。K社長は、「そんなことは気にしないでください。すべてが、勉強ですから。」と快く引き受けてくださったのだが、K社長の姿勢に中小企業の持ち味を見たような気がした。
 大企業ともなれば、短期的な採算重視で「消費者に、うちの商品を選びなさい。」といった感じがするが、K社長の姿勢を見ると、すべての中小企業が、K社長のようなところだとは言わないものの、消費者・顧客ニーズとそれを取り巻く環境を知ることで商売が拡大していくことを承知していて、短期的な損得は気にしていないのだ。
 本当であれば、調査委託費とは言わないが、人件費(いくら中小企業の社長とは言え、時給はかなり高い?)と足代くらい出してもらいたいというのが人情だと思うし、こちらもそうしてあげたいくらいなのだが・・・。

 結果的に小さな仕事だが、K社長は車いす用駐車場の立札と塗装の見積もりを2支店から依頼を受けることになったのだが、そのことは、顧客・消費者に近いところにいた結果ではないかと思う。

 K社長が支店内を回っている最中に話したのは、「うちの会社は、当初、エントランス関係の仕事をしていたが、現場でバリアフリーの要望を受けたので、ハートビル法などの法律を勉強したり、盲人団体の方とも情報交換をしたりして、ようやく障害者にとって何が必要なのかわかるようになって来た。注意喚起用床材一つとっても、『業者によっては、つければ良い。』といったように、階段ぎりぎりに設置して、盲者が気付いたときには、上りなら階段を蹴り上げ、下りなら転げ落ちても仕方ないような間隔で設置している。うちの会社は、そういうことがないように盲者に役に立つように設置している。そんな姿勢で仕事を続けていたら、仕事の幅が広がって、顧客も増えてきた。」のだそうだ。

 今回の件で、2つのことを勉強した。
 一つは、社長であれ社員であれ、固定観念にとらわれず広い視野を持って現場にいれば、きっと、自分の専門から商売が広がっていく種は無数に転がっているということ。
そして、K社長のところのような中小企業が、自分のコアコンピタンスを生かしながら、下請け、孫請けにもならずに生きていくことは可能だということ。
 もう一つは、いかに、会社(unizouを含め。)が、障害者のことを理解していないかということ。これは、今のうちの会社全体の業務すべてに言えることであり、本質よりも外観を取り繕ってきたことがいかに多いか反省させられた。そして、法律を生かすも殺すも、それを行う人がどちらの視点(例えば、今回の事例では障害者と設置者)で行うかによるところが大きいのだということ。

 K社長のところのような中小企業がたくさん増えることを願い、そのような中小企業を育てられる中小企業診断士に成れたらと思った1日になった。感謝。