40万円、指輪なら高い?宣伝費なら安い?

 毎朝6:00からテレビ朝日系列で放映中の「やじうまプラス」がその前身「やじうまワイド」だったころの話。
 その頃、unizou家の朝は、NHKの「おはよう日本」と「やじうまワイド」のハシゴで始まっていた。7:55頃は、いつも「やじうまワイド」を見ている時間帯、ちょうど番組終了間近のプレゼントコーナーの時間。毎日、日替わりで、旅行券や宿泊券、ダイヤのペンダントに指輪など、30〜40万円相当の豪華賞品が、決まって1名に当たるという企画だ。賞品の豪華さのせいもあってか、毎朝3,000通を超える応募ハガキが届いていた。unizou家の人々は「世の中には幸運な人もいるものだね。」などと言いながら見ていた。
 当然のことながら、ハガキを出さなきゃ当選資格なしってなわけで、指輪がプレゼントという朝に、試しに1枚だけハガキをポストに投函してみた。そしてそのことをすっかり忘れていたまま数日が過ぎて…。
 運命の朝8:00頃、母親の「UNIZOU!」という大声で起こされた。「一体どうしたんだろう?」と思いつつ、寝ぼけ眼で階段を降りリビングへ行くと、かなり興奮したただならぬ母の姿。そして、「unizou、やじうま当たったっみたいよ!」という第一声。「えっ???」と聞き返すと、詳細を教えてくれた。
 母がいつものようにプレゼントコーナーを見ていると、司会の吉沢アナ(当時)が、ハガキを1枚ひいて、「今朝は○○区にお住まいの方ですね〜。」と言いながら、電話のダイヤルをプッシュし始めた。するとそれに呼応するかのように、我が家の電話が鳴り始め、母が電話を取ると、「やじうまの吉沢です。Unizouさんいらっしゃいますか?」と言う声が、受話器とTVからまるで二重音声のように聞こえてきたのだそうだ。
 驚いている間もないまま、吉沢アナからの質問に正直に母は、「unizouはまだ寝ています。」と答えてしまい、unizouは全国に寝ていると伝えられる始末、もう少し気の効いた返事ができなかったのかと悲しくなった。続けて吉沢アナは、「お母様で結構です。指輪が当たりました!」と言って電話を切り、あっという間にプレゼントコーナーは終了したそうだ。その直後、母の激しい声で起こされたという訳。
 母は、「吉沢さんと話しちゃった。」、「TV電話みたいで妙な感じ〜。」、「1/3,000の確率よ!」としばらくの間興奮しており、覚醒して次第に状況がわかってくるうち、こんなラッキーなこともあるんだと思えてきた。
 それから1週間後、無事指輪は送られてきた。何でも40万円相当のV字のダイヤモンドリングだそうで、なるほど確かにキラキラと輝きをはなっていた。「質屋に持っていってみたら。」と冗談を言ったら、ものすごく怒られた…。もちろん、この指輪は、電話にでて当選の知らせを受けた母の物になって現在に至っている。
 このプレゼントコーナーの魅力は、賞品の豪華さと書いた。当選した指輪メーカーは、週に1回は商品を替えて必ず出品していた。毎週プレゼントとして、ただであげちゃうとは太っ腹だななどと思っていた。果たしてそうか?そんな慈善事業的な行為か?
 よくよく考えてみると、まず、プレゼント紹介の日に映像と共に「メーカー名、商品名、値段に品質」を全国ネットで放送してもらえ、次にプレゼント抽選日にもう1度、「メーカー名、商品名、値段に品質」を言ってもらえる。これで締めて40万円。広告宣伝費としたら、実は結構安いかも。
 だって、読売新聞で、記事下広告を全国紙(朝刊)で1段やる場合のコストは、3,714,000円(料金シミュレーションhttp://adv.yomiuri.co.jp/yomiuri/rate/index.html)と比べてみれば、お得感が分かる。
 ちなみに当選した指輪メーカーとは、キャッチフレーズが「ロマン・かがやく」の「ESTELLE(エステール)」だ。「ロマン・かがやくエステール」、耳に刷り込まれてる人、結構いるんじゃないかな?その意味だけでも、当時の広告戦略としては成功だな。