地球にやさしく

 アメリカから帰国した友人が開口一番、「アメリカは地球にやさしくない!」と嘆いていた。なんでもアメリカでは、ゴミの分別はかろうじてビンのみ、燃えるゴミ、燃えないゴミの区別はないし、生ごみディスポーザ経由でそのまま下水へ、当然調味料や洗剤を詰め替えて使うなんて発想は皆無なんだそうだ。
 怒るのも無理はない。友人は個人レベルで地球環境にやさしい取組を徹底して実践しているのだから。会社では、ミスコピーの裏面をメモのほかコピー機やプリンタの手差しトレーに入れて使っているし、自宅ではゴミの分別はもちろん、生ごみはボカシを入れて肥料にし、庭の一角にある家庭菜園の土に戻している。
 明日閉幕する愛・地球博愛知万博)は、地球環境の悪化を食い止め、美しい自然を守ること、「自然の叡智」がテーマとあって、ゴミを九種類に分けて捨てるよう来場者へ呼び掛けている。期間中のPRもあって、来場者のほか、ゴミを分別する習慣のない国のパビリオン関係者にも浸透し、ノウハウを自国へ持ち帰り普及させたいと願い出る国もあるという。
 最近は、企業においても環境に配慮した経営が広がりつつある。廃棄物・リサイクル対策関連法などの法規制に絡む環境保全コストは、そのまま企業の負担増につながるが、これを積極的に受け入れ、戦略的に「環境経営」を展開して利益を上げている企業も少なくないのだ。
 「環境経営」の国際的な規準にISO(国際標準化機構)の環境マネジメントシステムに関する規格「ISO14000」がある。これは、大気汚染や地球温暖化などの環境に影響を与える企業、自治体が、法の遵守は当然のこと、さらに組織的に自主的・積極的に環境保全に取り組む姿勢を、審査機関に客観的にチェックしてもらい、規格に適合すれば認証を与えてもらうものだ。この認証取得をした企業はそのまま環境マネジメントシステム合格企業として認められ、ユーザーからの高い評価や取引額の拡大などのメリットを享受できる。
 「環境経営」への動きは、何も大企業に限られた話ではない。
 環境省が1996年に「環境活動評価プログラム(http://www.env.go.jp/policy/j-hiroba/04-5.html)」を作成して以来、中小企業でも独自に環境保全への取り組みを報告書としてまとめ、対外的にアピールすることで、ユーザーから高い評価を受けることが容易になっている。
 生物が住める惑星は「地球」だけだ。個人、企業そして国レベルで地球にやさしくしていきたいものである。なお、「京都議定書地球温暖化問題に関する気候変動枠組条約)」は2004年11月にロシアが批准したため、発効要件を満たし、2005年2月に発効された。しかし、世界最大の二酸化炭素発生国であるアメリカ合衆国は、依然批准していない。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/kiko/