ナレッジマネージメント、「与えることは幸いである。」

 19日に車の定期点検に出かけた。
 定期点検が終わるまで、暇なのでテレビを見ていた。
 何気なく回したチャンネル(フジテレビ「とくダネ」)で「検証 ニッポンの医療①〜最先端医療の現場〜脳神経外科トップランナー」というコーナーをやっていたのであるが、そこで取り上げられた福島孝徳医師にいたく感動してしまった。
 アメリカの医療関係者は彼を「神の手を持つ男」と賞賛しているそうである。48歳のとき、論文を医師の評価基準とする日本の医学界に嫌気がさし海を渡り、臨床の現場にこだわりつづけ、異国の地で毎年200人以上もの患者の命を救っているとのこと。
 その手が「神」の手と呼ばれるのは、彼が確立した「鍵穴手術(キーホール・オペレーション)」と呼ばれる手術法にあるそうである。頭にほんの小さな穴をあけるだけで、顕微鏡を使い巧みに患部を切除・縫合する。普通なら10時間を越える難手術も福島の手にかかれば数時間で、患者のダメージは大幅に軽減される。まさに神業ともいえる世界最先端の技術だそうだ。
日本にも年数回帰国し、滞在中に全国の病院を回り寸暇を惜しんで手術を行っている。

福島医師は、「持っているもの(培った技術や知識)を若い医師に伝えていきたい。」と、若い医師を立ち合わせながら惜しげもなくその技術を教える。アメリカの大学で授業を持ち、世界各国から来ている医師にも教えている。

 何に感動したかというと、自分の技術を惜しげもなく伝えようとする福島医師の「人間の大きさ」に感動したのである。
 以前のブログ「俺の背中を見て育つ?」の中で書いたが、こういったことは誰に顔を向けて仕事をしているかということだと思う。
 福島先生であれば、患者と向き合っている。患者を救いたい一心で、「すべての患者を自分ひとりで救いきれない」、「必ずいつか自分は死ぬ。」ということが分かりきっているから、仲間を増やし、その技術を伝えているのである。
持っているものを出し惜しみする人は、結局、自分が習得したこと以上の発展はない。
 その技術で食べているのだから、競争に敗れると・・・。
 しかし、それは、一時的なことだと思う。また、その技術を出したから自分の才能が枯竭してしまうようであれば、遅かれ早かれその人の価値はなくなってしまうだろう。

 中小企業診断士の勉強で言うと、ナレッジマネージメントかな。
 一番大事なことは、「誰に顔を向けているか?」・・・。
 消費者に心を向けていれば、内部的にも外部的にも、競争を恐れることはない。

「あなた方もこのように苦労して、弱い人を助けなければならないことと、また、主イエスズご自身が、『受けるより与えるほうが幸いである』と仰せになったことばとを、心にとどめておくように、私はいつも模範を示してきました」
(中略)
 ここに語られていることは、普遍的な真理である。人間が生きるに値するかもしれないと自ら思えるのは、受ける時ではなく与える時である、とういのは心理学の明白な答えである。曽野綾子著 「心に迫るパウロの言葉(P18)」新潮社刊

 福島医師は、神と一緒にいるような気がしてならない。