英語習得とコンプライアンス

 英語を身につけようと思って、○○年。ほんとに、長い・・・。
 ここ何年間は、毎日、NHKのラジオ講座を聴いている。
 英検2級は取得したものの、一向にスピーキングは身につかないままである。
 一体いつになったら、ネイティブスピーカーの人たちと自然と話ができるのだろう・・・?
 でも、「一生かけて話せるようになろう。」と決意しつつ、スキットのテーマに考えさせられて、結構楽しみながら聴いている。
 今年聴いているラジオ講座は、「英会話レッツスピーク」。
 今月のスキットの中は、環境問題が含まれている。
 内容を言うと、ベッキーの高校時代の特別な場所(野の花、せせらぎ、日陰があり、そこで本を読んだり、リラックスしたり、人生について考えたりしていた場所)が、しばらくぶりに出かけたところゴミ捨て場になっていたという話である。
 友達のメアリーは、ベッキーの特別な場所がゴミ捨て場になっているのを見て、自分の身の回りにあったこと(近所にあった空き地が、一人がごみを捨てたとたんに、ほかの人たちがごみを捨て始めた。)を話す。
 その話を聴きながら、最近新聞紙上を賑わしている「カネボウ粉飾決算公認会計士が逮捕される。」の記事を思い起こした。
 こんなことは、「一人がごみを捨てたとたん・・・」と同じことで、つまり、「他の人がやっているのだから、自分も・・・」式なのだと思ってしまう。そして、このことは日本の社会では、氷山の一角なのだと思う。

日本の企業社会では長く「決算はつくるもの」という常識が通用してきた。企業間で株式を持ち合い、経営者が株式相互保有者として経営権を独占していたため、株主や投資家の利益は軽視されてきた。決算書や有価証券報告書は税金対策、銀行対策として作成され、株主や投資家への正確な経営情報の提供という意識は薄かった。(9月15日 毎日新聞社説)

 企業と公認会計士がグルでは、よっぽどのことがない限り今回のように発覚したのだろうか?
 投資家や取引先が、「公認会計士が作成した決算書類に不正がある。」と自信を持って言うには、相当な資料がなければ言えないだろう。結局、コンプライアンス法令遵守)の意識がない企業と公認会計士の使命をわきまえない人がグルでは、投資家も取引先も無力なのだ。

公認会計士の使命)
第1条 公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。
公認会計士の職責)
第1条の2 公認会計士は、常に品位を保持し、その知識及び技能の修得に努め、公正かつ誠実にその業務を行わなければならない

 しかし、unizouはそのような状況を知りうる立場の人たちが、他にもいたと思っている。
 それは、金融機関と国税である。
 金融機関は、融資をする際に必ず決算書の矛盾に気づくはずだ。もしそれに気づかないで融資をしていたとしたら、それこそ、企業規模のみを鵜呑みにして融資している「バンカー」とは言えない人たちだ。(以前にも書いたが、unizouは、バンカーと言えない人たちが庶民の金を自分のお金のように大判振る舞いして、バブルを招いたのだと思っている。)
 だから、今回の件は金融機関にも問題があると思う。
 そして、国税。各国税局の調査部門は、一定規模以上の企業の調査(調査課所管法人)を実施していると聞いている。平成15事務年度では、所管法人36,322社のうち4,879社を調査している。つまり、毎年単純に考えれば、所管している法人の13.4%は調査しているということで、とりあえず7年に1度は回ってくる勘定(多いのか少ないのは、分からないが)である。
http://www.nta.go.jp/category/press/press/2793/01.htm

これまでの調べでは、カネボウは99年に企業会計制度が子会社を含めた連結決算中心に変更された後も、赤字子会社を意図的に連結から外すなどして決算を偽装。帆足元社長と、元副社長・宮原卓被告(63)=同=はこのうち02年と03年の3月期(01、02年度分)の決算でそれぞれ800億円を超える粉飾を指示し、2年分の有価証券報告書に虚偽の記載をしたとして起訴された。(asahi.com)(http://www.asahi.com/national/update/0911/TKY200509100274.html

 調査した担当者は気づかなかったのだろうか・・・。

 粉飾決算は、証券取引法や商法違反で罪に問われるはずであるが、「他の企業(人)もやっているからという理由」で、こんな大きな問題にならない限り多くはきっと眠ったままであろう。
 公認会計士も金融機関も信用できないことを前提にするならば、自由な経済を守るため、国税の調査担当者が不正に気づいたのであれば「告発」して欲しかったと思う。

 企業が法令遵守コンプライアンス)するのは当然であるが、法令遵守をしていない企業をどうやって市場から退場させるのか?
 「自由で平等な社会」を守るためには、国家は、許認可よりも不正の摘発に全力を注ぎ、正直者が馬鹿を見ない仕組みを工夫する必要があると思う。
 これは、企業の規模に関係なく重要なことであり、企業が未来永劫継続していくことの重要な条件であると思う。
 中小企業の経営者の皆さんも一時の損得にとらわれず、長い目でみて、正々堂々とやっていきましょう。