仏像にハマるvol.2

 最近、朝晩めっきり涼しくなり、夕飯時には秋刀魚を焼く香ばしいにおいがどこともなく、漂ってきたりして“秋”を感じる。ブログを書いている今も外からは虫の音がよ〜く聞こえる。街路樹などは、夏の焼け付くような強い日差しからようやく逃れることができ、葉っぱの緑もどことなくホッとしたようなやわらかな色合いに感じる。
 “色”と言って必ず思い出すものが2つある。ひとつは“恐竜”、そしてもうひとつは、“仏像”だ。
 「恐竜って何色?」実はこれは良くわかっていない。恐竜の皮膚が化石化して残っている場合もあるけど、色までは残っていないんだそう。でも、図鑑などでは緑や茶色に着色されていることが多いし、映画などでも同系統の色で再現されている。どうしてそうなってるか?それは、現存しているワニ、トカゲなどの爬虫類やカエル、ヤモリなど両生類の肌の色から想定したことになっているらしい。でもヘビの中には結構カラフルなのもいるから、恐竜にもきっとカラフルなのがいたのではないかと思うと面白い。
 そして“仏像”、こちらは言ってみれば恐竜の逆。お寺に常設されてる仏像は、何百年もの時を経るうちに、色はすっかり落ち、くすんでしまっている(よーく目をこらせば、体や装束の一部に紋様や色が残っていたりするのが分かるし、表面を解析すれば色を解読できる)。しかし、お香から立ち上る煙に長い間いぶされて、あめ色のそして艶まで感じられるようになった仏像に、時の流れを感じ、その良さを見出すのが日本人である。もちろん、1年に1日しかご開帳されないような秘仏の中には建立当時を思わせるような色鮮やかなものもある。
 日本人の美意識なのか、文化財保護に対する基本姿勢なのか、日本では仮に仏像を修復するにしても現状維持をよしとする風潮がある。一方同じアジアでも、中国や韓国では仏像の修復=建立当時の再現というスタンスだから、現存する最古の仏像と紹介される仏像が黄金の光を放っていて、違和感を覚えたりする。
 この違和感は、修復を終えたばかりの寺社仏閣を見たときにも感じる。鮮やかな朱色と白、緑のコントラストもさる事ながら、極彩色の天井画など目の当たりにすると、中世を生きた日本人には、きっと「わび」「さび」は分かるまいと思ってしまう。現代の日本人と我々の祖先の感覚は随分と違うのかもしれない。
 奈良・興福寺の“阿修羅像”、常に仏像人気投票で上位にランクインする、仏像ファンならずとも歴史の教科書や修学旅行の常連とされる有名な仏像だ。
 この仏像は、三面六臂(顔が3面腕が6本)という超現実的な姿をしているが、眉をひそめ、澄んだ瞳で彼方を凝視する顔には憂愁の色が漂い、合掌して直立する姿は純粋な少年の姿を思わせ、なんとも美しい。
 実は、この“阿修羅像”の復元(模刻)が昭和56年から5年の月日をかけて行われている。建立当時のそのままの姿を等身大で再現するというものだった。
 さぁ皆さん、これをみてどう思いますか? 美しさ? 違和感?
 現在:http://www.kohfukuji.com/cgi-bin/kohfukuji/dispdata.cgi?id=but00001
 建立当時:http://www.narahaku.go.jp/97toku/97oyako2.html