俺の背中を見て育つ?

 ノウハウの蓄積・共有化が課題の我が職場にあって思うことのひとつ。
 「俺の背中を見て育て!」って一般事務にそんな考えが必要?日常反復的な事務にだよ!
 でもいるんだよね、「俺の背中を見て育て!」って姿勢の人、ノウハウの出し惜しみというか、人材育成に消極的というか、中長期的スパンで仕事を捉えていないというか…、そもそも他人が苦手という場合もあるかもなぁ…。
 仕事における知識(ノウハウ)は、大きく「暗黙知」と「形式知」に分けられるという。
 「暗黙知」とは、文字や言葉で表現できないような主観的なノウハウや信念といった他人に伝達することが困難な知識のこと。一方、「形式知」とは、言語化可能で文書や言葉で表現できる客観的な知識のこと。前者は、職人世界の徒弟制度に見る、長年の修行で培われるコツや勘、塩梅のような、まさに「俺の背中を見て育て!」ってたぐいのものだろう。   
 それに比べて後者はどうだろうか?この「形式知」こそ、すばやく言語化、つまりマニュアル化し、組織構成員に周知・徹底して共有化していくべきものだろう。しかし、たいしたノウハウでもないのにもったいぶってる人がいる、これが現実。
 仮に、自分が1年かけて習得したノウハウがあったとする。しかし、これをマニュアル化することで、新人が2週間で習得できるのなら、積極的に「形式知化」すべきだ。新人から習熟するまでの時間を短縮し、専門化までの速度を速め、その分時間を有効活用できる。
 組織構成員を一定のレベルまで、確実に効率的に育てられる組織は強い。なぜなら、業務の専門化に終りはない。あるレベルまで達成した者は、次のレベルへ到達するための「形式知」作りへと歩を進められる。また、「暗黙知形式知化」へ事務量もかけることもできるであろう。
 優秀な営業マンの販売ノウハウは、そのほとんどが個々の「頭の中」に蓄積されていると言われたきた。しかし、現代は、そういった個々のノウハウをITを駆使して実効性ある「しくみ」として再構築し、文書や図に表現して企業全体で活用するなど、「暗黙知形式知化」が競争優位性の源泉とも言える時代だ。
 「形式知」を宝箱にしまっているようでは、本当の宝は見つからないぞ!