金魚の話 vol.1

我が家には、平成3年から飼っている金魚がいる。平成7年に2代目が生まれたのを皮切りに、代替わりしながら、生き長らえ、今は3〜5代目くらいが現役ってところか。
 金魚と言っても、観賞用の熱帯魚ではなく、全て「和金」、つまり金魚すくいでよく見かける、何の変哲もない金魚だ。たかが金魚と思うかもしれないが10数年も飼っていると、「すごいなぁ」とか「金魚も人間と同じか」などと金魚に教えられることがある。そこで、色々ある中、今回は「生存率」の話。
 毎年5月に入った頃、暖かな日の朝に突如産卵が始まる。オスと思われる金魚がメスと思われる金魚のお腹を頭で押しながら、ぴったりと寄り添うように泳ぎ、水草に近づくと、メスは体を水草にこすりつけるようにして卵を産み付ける。卵を産み付ける瞬間は、水しぶきがあがるほどの勢いで、その音で産卵の異変に気づかされるほどだ。かれこれ、1時間もすると水草の隙間にびっしりと直径1ミリほどの透明な卵が産み付けられている。モノの本によると。金魚というものは、そんなに苦労して卵を生んでおきながら、そのままにしておくと卵を食べ始めてしまうそうなので、早速水草を別の水槽へ移す。
 1週間もすると、何やら消しゴムのカスのような紐状のものがたくさん水槽の壁にへばりついている、これが孵化したての稚魚たち(体長3ミリ程度)だ。2〜3日はじっと壁にはりついたまま動かず、また養分の入った袋をもっているせいか、えさもとらない。そして4〜5日すると、ぎこちなくではあるが、水槽内を泳ぎ始める。その泳ぎ方の心もとなさったらない、言葉で表すなら「チロチロ」泳ぐという感じか、さすがにこちらも応援したくなる。そして稚魚をしばらく観察した後、忘れた頃に親金魚に餌をやったりすると、獰猛な巨大魚のように感じられてならないのが笑えるのだ(親は体長15センチ)。
 こうして1シーズンに孵化する稚魚の総数は約1,000匹ほど、庭先には水草を小分けにした数個の水槽が並ぶ。
 しかし、私がシロウトということもあってか、天敵がいないにもかかわらず、日1日と稚魚は死んでいってしまう。水の取り替えるタイミング?、餌のせい?と最初は悩み、ふりかえると、1年目は過保護に、2年目は放任に飼育したが、結果はかわらない。稚魚とはそういうものらしい。そして最終的に残るのは、1,000匹のたった8〜10匹だ!この生存率の低さには毎年のことながら驚かされる。
 この生存競争に勝った、タフな稚魚たちは、個体差はあるものの、孵化して3ヶ月もすると、体の色がグレー(まさにフナ)から赤に変化していき、1年で体長3センチほどに成長する。
 我が家の金魚の生存率は、0.8%、2004年の中小企業診断士の第1次試験の合格率は、15.7%だ。我が家の金魚に笑われないようがんばることとしよう。