中小企業の資金調達

もうバブル景気が終わって、10数年になる。バブルの後遺症は相当整理されたと思うが、未だに完全に終わったと言えないのが、この国の不思議さである。

「バブルの後始末の仕方」でよく言われたのが、「ソフトランディング」にするのか、それとも「ハードランディング」にするのかといったことである。

結果的に日本全体としては、ソフトランディングの道を選んだように思うが、中小企業にとっては、ハードランディングだったような気がする。私がその経過を残酷だと思うのは、金融機関が少しばかり景気の良かった会社に大量の資金を注入してバブル経済の中で踊らせ、すべてが金融機関の甘い査定の結果なのに、バブルがはじけたとたんに、追いはぎのようにすべての財産を剥ぎ取ってしまったことである。

その当時から、金融機関(銀行)にバンカーはいないのだ。リスク管理をして、資金を運用してる余裕がないから、大量の資金をただ無為に貸付せざるを得なくなっているとしか考えられない。中小企業の人から当時の様子を聞くと、その答えは大抵こうだ、「必要ないから借りないよと言っても、銀行が頭を下げて借りてくれって頼むんだ。」。

その体質は、きっと、バブルが終わった今でも変わらない気がする。変わったのは、決算書が黒字かどうか、担保があるか、借入れについて返済遅延が過去1度もなかったかなどの通り一遍の審査で貸付先を絞り込んだくらいだろう。

金融機関も企業であり、貸倒れのリスクがあるが、それを絶対的に回避すべきとは言わない。真に中小企業の姿を見て融資してほしいのだ。それこそが、真に預金者が預けた資金が生かされ、借り入れをした企業も生かされるのだから・・・。

中小企業の人たちも金融機関にとらわれない資金調達をして、もっと自由に商売ができるようにしてほしいものだ。

 今巷間を騒がせている郵政民営化が実現されたら、郵便局の資金が銀行に向かうのではなく、全部とは言わないが、少しでも身近な地域の中小企業に資金投資したらどうだろう。もちろん帰ってこない危険負担を覚悟してではあるが。もし、その企業と一心同体になったつもりでその企業のことを考えれば、生きがいにもなるし(郵便局に預けている人はお年寄りが多い?)、遠くの会社の株を買うよりずっと地域に貢献できるだろうから。