中国の大気汚染

 中国の大気汚染が相当ひどいことになっていて、日本にも影響があるという。
 特に、九州、中でも福岡などの九州北部は、大気がはっきり曇っているとわかる日もあるということで、健康への影響もかなり懸念されるという。


 国交正常化からこれまで、多くの企業が工場を中国に進出させ、様々な産業を育成し、成長させてきた。
 その一方で、公害までも中国に輸出したのではないかと心配している。
 今、これまで培われた日本の公害対策が中国から注目されているというが、特にここ数年の中国の成長を知っている多くの良識ある日本人は、こうなることがわかっていたのではないのだろうか。
 今から5〜6年前になるが、「中国産餃子から農薬」といったニュースもあった。
 また、それ以前から、中国の農作物の残留農薬が問題になっていた。


 経済学・経済政策では、ミクロ経済学の中で市場の失敗が生じるケースとして、「外部効果」が存在する状況を挙げ、負の外部効果の例として、大気汚染などの公害を挙げている。
 大気汚染を少なくするには、その除去費用を各個人や企業が負担するよう規制することが一番だそうである。
 個人や企業が負担する除去費用が排出量に応じてたくさんかかることになれば、個人や企業は大気汚染する有害物資を排出しないよう工夫する。また、その費用は、消費者に転嫁されていくはずである。
 そういった規制がなければ、大気汚染する物資の排出に歯止めがかからない。


 中国では、長年にわたり一切そういった規制をしてこなかったのである。
 そして、中国が適切な規制をしなかったという結果においては、日本人もその恩恵(安い価格で生産物等を購入できる)に預かっていたということになると思う。
 そして、今になって、そのしっぺ返しを食うことになり、挙句に中国ばかりを責めているのではないだろうか。
 日本だけではないかもしれないが、世界の生産地として、中国に産業ばかりでなく、公害までを輸出してしまった諸外国は、地球環境を汚染したという点において、その責任を負わされる結果になったと思っている。