管理職

 管理職になることで払う代償もあるのに、そんなことも考えずに管理職に就きたいと思う人が如何に多いことか。
 木曜日の午後、統括マネージャーのポストにあるunizouのところに、グループ長のSさんがいきなり 「unizouマネージャー、ちょっと来てもらっていいですか?」と、顔面に怒気をにじませて話しかけてきた。
 「いいですよ」と、努めて冷静に返して二人で打合せ室に入り、面と向き合った。
 「先輩として言わせてもらいますが、なぜグループの仕事のやり方について、S君に話をするんですか?・・・」
 Sグループ長は、unizouより5歳年上。昨年初めて管理職であるグループ長になった。そして、S君は、Sグループ長の部下。
 (・・・あっ、そうか。今朝のこと?)
 実は、数日前に行われた会社のパーティーで、S君から「unizouマネージャーに、もっと話を聞いてもらいたいですね」と言われたので、毎朝早く出勤しているS君に、その朝「今度、帰りにお茶でも一緒に飲む?」と伝えた。
 その際、課内全員が参加するはずだった水曜日に行ったイベントに、Sグループの一部しかでてこなかったので、「どうして一部の人しか参加できなかったの?」と聞いたのだ。そして、その件については、それぞれ理由があったこととunizouの中では収めた話だった。S君に聞いたのは、仕事のやり方というより、なぜ、全員が参加できなかったのかということを断片的に聞いただけのこと。
 ところが、「S君に聞いたこと自体が、許せなかった」といったことらしい。
 S君は、数年前に精神的な病になり、今では大分落ち着いているが、それでも、時期的に多少不安定(本人から当日聞いた話)になる。
 そのため、仕事のやり方についてS君に話せば、責任感のある彼が精神的に悩んでしまう。そう考えたらしい。
 イベントの件については、以前から全員参加を各グループ長に伝えておいた。
 特に、支障があるとの申し出をunizouにしたグループ長はいなかった。その点について、Sグループ長に伝え、「そのことは申し訳なかった。S君との話しの状況も理解した。」と言われた。
 その後、部下のマネージメントで苦労していること、自分の体調も思わしくないことをunizouとの会話で嘆いていた。
 しかし、Sグループ長は、専門職としての経験はunizouよりずっとあり、自己申告制度でも、管理職であるグループ長を希望していた。
 だから、「マネージメントが難しい」とか、「健康面で不安が・・・」というのであれば、本当は管理職を希望してはいけないはず。(そこまでは言えなかったが・・・)
 そして、いつも思っているが、何よりも問題なのは、部下を叱らないこと。
 Sグループ長の部下には、目に余る部下が多い。そして、その人達のせいで、まともな部下も体調を崩している。
 この1年間の実績も、辛うじて体面を保てるようなもの。
 Sグループ長が専門職の経験が豊富で、人間的にも部下から尊敬されているようなので、もう少し様子を見ようと是正しないままきてしまった。本来であれば、統括マネージャーのunizouの責任を問われるべきことで、unizou自身もSグループ長に仕事のやり方を含めた話をしてくるべきだった。
 unizou自身にも、5人の部下がいる。毎日、褒めたり叱ったりの毎日。結構厳しいことを、特に年が近い部下には言っている。
 言った後で、自分のことを「人が悪いな」、「嫌な性格だな」、「孤独だな」と思う。
 「みんなから、変わっていると思われているだろうな・・・」と思うことも。
 でも、夜寝て、朝起きると、「また、一日いい仕事をしよう!」という気になる。
 そして、「部下を褒めたり叱ったり」を繰り返す。
 管理職とは、そういうものだと思う。「一人でも味方についてくれればやる」とかいうことでなく、やらなければいけないこと、必要なことは、たとえ最初は誰も味方してくれなくても、説得してやらせるくらいの気迫が必要なのだと・・・。
 仕事に対して、どれだけ真剣に向かい合っているのかという気迫を部下が感じなければ、誰もその仕事に誇りを持ってくれない。
 実は、昨日の夜、数年前に在籍した支社の課のOB会が開催され、その当時の部下から「unziouさんは、ブルドーザーでしたね」と、お褒め?の言葉をいただいた。部下は、今では、立派な中間管理職になっている。