地方の衰退

 先週土曜日にNHKテレビで放送された「日本の、これから「止められますか 地方の衰退」−第1部−」、最初の質問から納得いかないものだった。
 こんな質問を考えるスタッフの頭が悪いとは言わないが、地方の衰退という問題を“いい”“悪い”で判断しようとすることに、なんて浅はかなんだろうと思ってしまう。
 こんな質問をされて、“いい”なんてストレートに答えられるような内容ではないだろう。
 地方の衰退の問題の根源も、対応策も混然としているのだから・・・。
 大体、どんなに過疎地でも人が生活している限り、その人達が憲法25条に規定された「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」ということは、当然である。
 そういったことまで含めて、地方衰退を“いい”といえるほど、全ての国民が非人道的ではない。
 健康で文化的な最低限度の生活を営むために、お金を使うのであれば、当然だと思っているのが多くの国民だと思う。
 しかし、山の奥深くまで行く道路、使いもしない公共施設などを、人口や必要性にかかわらず造っていくのがどうかと思っている国民が多いと思う。
 お金をつぎ込めば、健康で文化的な最低限度の生活が送れるという単純な発想もしないほうがいいように思う。山道を自分の足で登っていくような生活を、健康で文化的な生活ということもできる。
 地方都市から東京への一極集中についても、討論されていた。
 地方で教育された人達が、社会人として東京で働いて納税しているため、地方はそのためのコストを負担しているだけだと・・・。
 地方からの都市への人口流入は、“人の心”の問題である。
 地方の利便性が高くなったり、労働需要ができたりしたら、人は地方に行くというようには、一概に言えないと思う。
 大体、多くの地方自治体の首長を務めた人達が東京の有名私大の教授になっているくらいである。ちなみに、出演者にも有名K大学の教授になっている地方自治体の元首長がいたが・・・。
 unizouなどは、東京へ来ないで、地方から情報発信をするような、骨のある仕事をして欲しいと思うが、お門違いの発想だろうか。
 大体これからは、テレワークの時代である。
 農業や工業などの製造業でなければ、現場にいなくても仕事ができる時代が近づいている。テレホンショッピングやコールセンターを、地方におくような企業も多くなっていると聞く。
 いや、農業や工業でさえ、現場に行かなくても、仕事ができる時代が来るかもしれない。
 また、地方の産業の衰退は、東京一極集中のせいではない。
 中国などをはじめとする、労働力の安い東南アジア諸国、アフリカ、南米などの台頭によるものであって、東京から人が地方に戻ってきても、産業にどれだけお金をつぎ込んでも、勝ち目はない。
 労働力の安さで対抗しようとしたら、どの地方に行っても、そういった国々には敵わない。だから、付加価値のある産業を自分たちで作り上げることが大事なのだと思う。
 地方の衰退を止めるためでなく、適正な発展のために、やるべきことはほかにたくさんあると思うのだが・・・。。