信用保証制度の悪用

 一昨日5日付の読売新聞に、

 中小企業の資金調達を助ける「信用保証制度」を悪用した神奈川県相模原市暴力団幹部による融資金詐欺事件で、被害は9都府県計約120の金融機関に及び、被害額は約48億円に上る。

といった記事が出ていた。
 信用保証制度は、中小企業診断士試験のH15:第23問にも出題され、診断士になろうとしているなら必ず知っている制度である。

  • 民間金融機関から信用リスクの高い中小企業等への資金供給の円滑化を図るために、信用保証協会が保証料を徴収してその借入れの保証を行う制度をいう。中小企業者から徴収した保証料のプールおよび国や地方公共団体等が拠出した保証協会の基本財産等から生じる運用益を原資として、中小企業者が債務不履行となった場合に代位弁済を行う一種の保険制度である。【資格の学校TAC豆知識・用語集より】

 信用保証協会は全国に52あり、信用保証協会を会員として全国信用保証協会が組織されている。
 全国信用保証協会は、信用保証協会の健全な発展を図り、中小、中堅企業金融の円滑化に貢献することを目的としている。
 ちなみに、47都道府県以外に横浜市信用保証協会、川崎市信用保証協会、名古屋市信用保証協会、岐阜市信用保証協会、大阪市信用保証協会の5信用保証協会があるため、52となっている。
 記事の中で、「公的な保証があるため、金融機関の審査は甘くなると指摘されている。」ということが書かれていた。
 「被告宅からは、偽の税務署印が押された大量の確定申告書を発見。分析した結果、2003〜06年、中小企業約80社の申告書などを改ざんし、設備投資や運転資金名目で金融機関から融資金をだまし取っていた疑い」があるという。
 以前からブログで書いているとおり、今の暴力団は昔の清水の次郎長の時代と違う。
 任侠なんて言葉は死語に近く、清貧さも持たない悪徳新興企業のようなもの。
 どんなことがあっても騙されてはいけないし、暴力団を利用しても絶対いけない。
 特に、闇金融振り込め詐欺などで騙されると、それが資金源になって暴力団を潤すことになる。
 「六代目山口組の篠田組長は拳銃を所持していたボディーガードの共犯として銃刀法違反容疑で大阪府警に逮捕され、昨年2月、大阪高裁の懲役6年の実刑判決を不服として最高裁に上告。10億円の保釈金を払い保釈」という記事を見ても、未だに不正な資金が流れているのかがわかる。
 今回の事件も、そういった資金源の一つなのだろう。
 健全に働いている人たちがバカを見ないように、是非、信用保証協会や金融機関には、しっかり対応してもらいたい。
 また、公平な課税をしてもらえるよう税務署や国税庁には、検察や警察と連携してきちんと対応してもらいたい。
 今、金融機関は、リレーションシップバンキング*1を重視し、決算書類の正当性なども重視しているというが、「保証協会の資金だから・・・」ということではなく、同じようにきちんと対応してもらいたい。
 この世の中は普通に生きている人がほとんどで、汗水たらして働いている人に税金が使われ、いろいろな制度が利用されるよう、格差社会を問う以前の問題としてしっかりやっていって欲しいと思う。

*1:必ずしも統一的な定義は存在しないが、金融機関が顧客との間で親密な関係を長く維持することにより顧客に関する情報を蓄積し、この情報を基に貸出などの金融サービスの提供を行うことで展開するビジネスモデルを指すのが一般的」とされています。リレーションシップバンキングにおいては、貸し手の借り手に対する継続的なモニタリングなどのコスト(エージェンシーコスト)を軽減することができるうえ、借り手の経営をチェックし、貸出の劣化を防ぐことにより、貸し手、借り手双方の健全性確保を図ることができる【株式会社日本格付研究所&Aより http://www.jcr.co.jp/Q&A/QAgeppo_1-3-09-1.htm