仏像vol.7〜番外編〜

 土曜日に出掛けた「仏像」展で、同時開催されていたのが特別展「一木彫ができるまで」、こちらは、まさに一木彫の仏像ができるまでの制作過程を「目に見える化」して紹介するコーナーであった(http://www.tnm.jp/jp/servlet/Con?pageId=B01&processId=01&event_id=3509)。
 実際に本会場で展示されていた京都・醍醐寺聖観音菩薩立像(重文)をサンプルに、原木への墨書きから仕上げまでの制作過程が、4工程に分けられて模型と共に展示されていた。
 これをみて、改めて素材が木材であることを認識し、仏像に施された流れるような衣のひだ、憂いを秘めた表情の数々、首飾りや髪飾りなど装身具といった細部にわたる緻密な彫りに感心するとともに、奈良・平安時代に既に相当高度な彫刻技術を有していたことを実感したのだった。
 更に、隣には、素材の木材について、樹種ごとに同じサイズの木片がサンプルとして置かれ、実際に手に持って、質感、木目、重さなどを体感でききるコーナーが用意されていた。
 本会場では、仏像ごとに材質について檜(ヒノキ)、榧(カヤ)、杉(スギ)などとプレートに表示され紹介されていたが、その違いを仏像を観るだけでは感じることができないところ、実際に木片に触れ、材質を知ることで、木の固さや重さを知り、制作過程の困難さなどが推し量れ、想像を膨らませることができた。
 特に、同じ体積の木片で手に持って重さを比べると、ひときわ欅(ケヤキ)が重く、欅製の仏像は相当重いのだということを知った。
 最近、わが社でも目に見える化が流行っている。
 今年から部門構成員の仕事の進捗状況を、ホワイトボードに示し、誰に仕事が集中し、逆に誰が比較的手隙かが一目で分かるような取組が実施されている。ホワイトボードは毎朝10分程度の打合せの中で更新され、ON TIME情報になっている。
 パソコンに向かっていると、誰もがとりあえず忙しそうに見えてしまい、仕事の繁閑が見えづらく、各人への事務量を適性に配分しにくくなることを打開すべく、採用された取組だ。
 「百聞は一見にしかず」とはよく言ったものだ。
 なお、本展示会にはイヤホンガイドを別料金だが聞くことができる。語り部は日本昔話、家政婦は見たシリーズの市原悦子さん。彼女の独特の語り口が好評で、耳からも仏像への感心に一役買っているそうである。