仏像にハマるvol.3

 毎年「文化の日」が近づいてくると、奈良の興福寺から秋の特別開扉のお知らせが届く。
 今年もその季節がやってきた。
 毎年春と秋の2回だけ、興福寺の北円堂が開く。中には「木造弥勒如来坐像」、「木造乾漆像四天王立像」、そして目玉の「木造無著(むちゃく)・世親(せしん)立像」が安置されている。
 何を隠そうunizouは興福寺友の会の会員なのだ!「今年は残念ながら行けないなぁ…。」と封筒をしまおうとして思い出した。随分ブログに仏像のことを書くのを忘れていることを。見てみると9月12日以来、ちょっと反省。
 仏像の種類は4つ。如来、菩薩、明王、天の4グループに分けられるというのは前回までの話。ではその4つの違いについて。この違いはとても大きく、それを知っているだけで、お寺で仏像を区分でき「仏像通」になった気分になれる。
 まず「如来」。
 如来は、最高点にゴールインした仏のことで、髪の毛がパンチパーマのようにちじれ(螺髪(らほつ)と言う。)、頭のてっぺんがコブのように大きくもり上がって表されるので、ほかの種類の仏像と区別することができる。衣類は、1枚の大きなシーツのようなものを羽織るだけ、ほとんど裸。ネックレスなどの華美な装飾品もない。少しでも多くの人を救うために、両手の指の間に水鳥のような膜がある。
 次に「菩薩」。
 菩薩は悟りのゴールを目指して、今一生懸命修行している仏のこと。長い髪を綺麗に束ねて、冠をかぶり、体にはネックレスやブレスレットなどの飾りをつけたおしゃれな仏像として表される。一見して貴族のようなゴージャス衣装を身にまとっているので、すぐ分かる。いつも私たちの身近にいてくれる、やさしい顔の仏像だ。
 そして「明王」。
 明王は、どんな力にも打ち勝つ強い仏で、いろいろな邪魔をするワルモノを追い払ってくれる。ワルモノが恐れおののくよう、明王自身も憤怒の形相をして、世の中をにらみつけている。頭はチャパツ(茶髪)で手には武器を持っている。
 最後は「天」。
 天は、世界を守るガードマンの役目をする仏のことで、もとはインド出身の神様。男性と女性の区別があり、例えば、毘沙門天(びしゃもんてん)には、吉祥天(きっしょうてん) という奥さんがいて、禅尼師童子(ぜんにしどうじ)という男の子がいる。天には、種類が多いが、大きく二つに分けられる。一つは、中国風の衣装を着た貴族風の人の姿(天女形もこれに含まれる)をしているグループで、もう一つは、甲冑を身につけ忿怒の形相をした武人の姿、神将の形をしているグループ。天は、成立事情も姿も性格もとてもバラエティーに富んでいる。
 さて、4つの違いを分かっていただけただろうか?是非このページの「仏像一覧」確認してみて欲しい。
 http://www.kohfukuji.com/kohfukuji/01_index/f_main_d.html
 行楽シーズンの秋到来!
 近くのお寺に足を運び、安置されている仏像をプレートを見ずにして見分けてみては?
 【参考】 親と子のギャラリーぶつぞう入門 発行:奈良国立博物館