職場研修と能力開発

 今日unizouの係が主催して職場研修が開催された。
 研修出席者は、支店に所属し、各部門で事務の審査を行う中堅以上の人たち。1日仕事を離れ、本社の会議室に集まってもらい、午前中は講義、午後は事例研究に取り組んでもらった。
 研修を開くといつも感じることだが、人前で話すことはとても難しい。それの準備が必要なのはもちろん、準備したうえで、限られた時間の中、どう構成し、どう話せば、研修生に伝わり、それが研修生のためになるのかと考える。別に研修で全てを理解してもらおうなんて思っていない。そんなに自分に講師としての才覚があるとも思えないし、研修生もいい大人だ、所詮同じ職場の同僚が講師なのだから、きっとそこまでは求めてはいないだろう。でも、講師にとっても、研修生にとっても「研修」はせっかくの機会だ。研修で聞いたこと、感じたことが、何かの「きっかけ」になれば本当にありがたいことだと思う。
 我が職場は比較的職場研修が充実していると思う。
 その種類も、ブログ「本の整理」で触れたように、職務上必要な法律がここ数年改正続きであるため、新たな事務の取扱いを周知・徹底するようなもの、日常業務の手続を確認したり注意事項を知らせたりするもの、仕事の中のある専門分野を伸ばすための研修、新任研修に新人研修と言った仕事に直結するものから、パソコン・OA技術の向上を図るもの、退職後の人生を見据えたライフプラン研修、そしてお客様と接するため、人としてのあり方を意識した、接遇研修や英会話、韓国語をはじめとした外国語研修、バリアフリー研修(手話講習)などと多岐に渡る。
 この「研修」についても、企業経営論の組織論で整理されていた。「人的資源管理」という分野の「能力開発」という単元だ。なんだか「研修」すら定義されているかと思うと不思議な気がする。
 「能力開発(広義)」は、「教育訓練」と「能力開発(狭義)」に分類される。前者は、特定の職務に従事している従業員に対して、当面必要となる職務遂行能力を育成するために、企業主導的に行われている活動のことをいい、後者は、従業員が近い将来必要となる職務能力や企業内外の環境変化に柔軟に対応するための幅広い能力を育成するための活動をいう。
 「能力開発(広義)」は、その実施形態から、OJT(On The Job Training)、Off-JT(Off The Job Training)、自己啓発の3つに分類される。OJTは、言葉通り、実際に仕事を行いながら、上司などが部下の指導を実施し、業務を行う際に必要な知識や能力を部下に獲得させる教育訓練方法をいい、Off-JTは、今回のunizouが関わった研修のように(1日とは言え)、実際の業務から離れて、特別に時間と場を設けて行われる教育訓練をいう。自己啓発は、従業員が自分の意志で能力開発を行うものであり、個別の興味や将来必要とされる能力の開発などを自発的に行うものをいう。
 職業人になると、能力開発のうち、最後の「自己啓発」の機会がめっきり減るように思う。自己啓発には、気力がまず必要であるし、そのための時間とコストもやりくりしなけばならない。いったん組織に組み込まれると、「会社が育ててくれる。」、「会社が面倒をみてくれる。」と職業人としての能力開発において他力本願に陥りがちだ。でも、その組織で準備されている能力開発プログラムは、組織内では通用するが、組織外でも通用するかと言うと必ずしもそうではない。終身雇用制度が揺らいできている現代において、「組織人」ではなく、「一個人」として生きて行く能力、「人間力」みたいなものを身につけていくことは大事なことかもしれない。