最近の話題・・・ラチェット効果と確定申告

 先日、プロ野球中村紀洋選手が年俸400万円で中日に入団したことについて書いた。(人生の選択:http://d.hatena.ne.jp/unizou1972/20070228)昨年の推定年俸2億円から考えると、大変な減給である。
 このニュースを聞いて、診断士の試験科目、「経済学・経済政策」、消費の三大仮説で習う、相対所得仮説の時間的相対所得の見本のような気がした。
 中村選手のように、今まで高額所得で消費が高額であった場合、どうしても生活のレベルを下げられないという行動を指す。
 経済全体で見ると、景気後退期に消費水準の現象に歯止めがかかる歯止め効果(ラチェット効果)があり、望ましいことのように思えるが、実際個々の人を見た場合、収入と支出が見合わず破産への道をひた走ることになる。実際中村選手も税金の準備ができていないような発言をしていたようだ。
 特に、住民税は前年の所得を翌年に払う後払いなので、サラリーマンでも前年の収入が良くて今年の給料が下がった場合、前年は余裕があるが、給料が下がった年は経済的にかなり窮屈に感じるはずだ。
 中村選手には、野球のことだけでなく、しっかり納税の義務を果たして、破産などしないようにがんばってもらいたいものだ。
 ちなみに、三大仮説には、ほかにライフサイクル仮説と恒常所得仮説がある。
 ライフサイクル仮説は、その年の消費は、その年の所得ではなく、一生の間に得ることのできる所得(生涯所得)に依存して決まるという仮説。
 恒常所得仮説は、所得を恒常所得(生涯所得を平均にならしたもの)と変動所得(景気の状態等により一時的に変動するもの)によりに分け、消費は恒常所得に依存するという仮説である。
 また、相対所得仮説には、空間的相対所得という、ある家計の消費は、その家計と同じ社会的な階層に属する別の会計の消費に依存するという考えもある。
 税金の話題に言及し、最近、診断士ブログにも確定申告の話題があるので、今度は昔聞いた話をしてみようと思う。
 確定申告は、本来、1年分の税金の精算で、損でも特でもない。
 還付申告であれば、1年間国に預けすぎていたようなものだし、納税になれば、国に預けていなかっただけのこと。
 ところが、税金が戻ると何だか得したような気分になる。税金だからではなく、あとから戻ってくるものは何かとうれしいもの。社内旅行の積立金だって、社員親睦会の会費だって、あとから戻ってくればうれしいのと税金の還付も同じ。
 そして、納税となるとたかだか1万円でも、すごく損した気分になる。飲み会の会費を追加徴収されるときほど嫌な気分になるときはない。(幹事の腕の見せ所でもある・・・?)
 だから、確定申告の相談会場では、変わるはずのない申告を税務署の職員に、「去年は還付だったのに・・・・?」と、1時間以上も粘っている人がいるという。
 仕組みがわかっていないのである。また、源泉徴収されていない人が、医療費がかかったり住宅を取得したりした場合に、税金が戻ると考えて申告相談にくるという。確定申告は、税金の精算で、生活保護じゃないのだから還付されたりしないのにである。
 こういった原因は、「高校生ぐらいのときに、確定申告書を書かせていないことにある」と聞いたことがある。アメリカでは、授業の中で、実際に確定申告書の作成をさせるそうである。
 診断士ブログでも、“確定申告が難しい”と書いてあったものがあった。
 しかし、サラリーマンや年金受給者が行う医療費控除や住宅取得控除など、所得税の確定申告の手引きを順番に読んでいけば、そんなに難しいものではない。
 ちなみに、数年前に申告用紙が変わり、当初は評判がよくなかったようだが、その仕組みがわかって、順番に記載していけば、中学生でもわかるくらいに書いてある。
 きっと、担当者の人は、相当苦労して理解しやすいものにしようと努力されたのだろうと思う。これ以上易しくするのは難しいというくらいに・・・。
 ただ、事業をやっている人や、譲渡など特別なことがある人は、税理士に頼むのがいいと思う。そのために税理士がいるのだから・・・。
 そのコストは、事業をしっかりやっていくためのコストで、診断士に企業診断をしてもらうコストと同じものだと思う。
そろそろ。暖かくなる季節に球春が近づき、確定申告の時期も終わる。
 申告を 終えて感じる 世の中の 春の訪れ 人のぬくもり