酒造業とアセット・ベースト・レンディング(ABL)

 中小企業経営・中小企業政策で習ったアセット・ベースト・レンディング。
 いろいろな形で広がりを見せているようだ。
 10月31日の日経新聞朝刊に「動産担保に協調融資 足利銀行商工中金 北関東で初 外池酒造店に3000万円」という記事が掲載された。
 商工中金足利銀行が、協調して株式会社外池酒造店(本社:栃木県芳賀郡益子町 外池茂樹社長)と「動産譲渡登記制度」を活用した「シンジケートローン型アセット・ベースト・レンディング」(ABL)契約を締結したというもの。
 商工中金足利銀行によるABL協調融資枠設定は北関東地区では初めての取組みであり、(株)外池酒造は、事業の流れに着目したABLのスキームを導入することにより、従来は利用されることのなかった原材料、商品そして売掛金などを一括で資金調達に活用できることになり、ブランド力の一層の強化が可能となるという。
 酒造業者メーカーでは資金需要は原材料を仕入れる秋に集中して発生する。製品は在庫として長期にわたり一定の価値を持つほか、「債権の流れが分かりやすく、担保目的動産に適している」(商工中金)という。
 企業白書では、次のように記載されていた。

 地価の下落に伴い、土地以外の資産を担保とした融資実行数が増えていることが分かる。
 また、実際の金融機関の業態別にそれらの売掛債権担保融資や在庫担保融資といった土地以外の資産に着目した融資は、金融機関の業態が大きくなるほど取り組んでいる、あるいは取り組む予定がある割合が高くなっており、金融機関の関心が高いことが分かる。

http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h17/hakusho/html/17223200.html
 asahi.com be reportによると、酒造業は1970年に戦後の日本酒の消費量がピークを迎えて、以来手軽に飲める発泡酒やビール、ワインや焼酎のブームなどに押され、消費量が減少している。しかし、最近は海外輸出やカップ酒人気など、反転攻勢の気配もうかがえるという。
http://www.be.asahi.com/20060513/W13/20060426TBEH0003A.html

 酒類の製造免許については、明治29年に酒造税則に代わり酒造税法が制定された当時から、酒類の製造をしようとする者は、製造場ごとに、その所在地の所轄税務署長の免許を受けなければならないこととされており、酒造業界は、一部大手を除き、総じて中小企業であり、このため、消費者ニーズの変化が、即、企業の存亡にかかわってくる。
 今まで、業界保護に取り組んでいた国税庁酒類行政の大きな柱だという。

 タビスランド・オリジナル・コンテンツ「国税庁の発足後の税務行政 酒税及び酒類行政の変遷(2)(3)」より一部抜粋【http://www.tabisland.ne.jp/zeidb/50year/50year20.htm
 中小企業・アセット・ベースト・レンディングなどのキーワード。
 保護行政から、自立した産業への変革に変革に向けた取組は、まさしく、診断士の得意とする分野で、出番ではないか。
 そして、これらの酒造業者は、事業承継者の問題も多いという。
 それに、酒造製造には、お米と水がつきもので、農業にも関係している。
 unizouには、どの産業においても、製品だけでなく、その製品の付加価値をいかに消費者に提供するかということが非常に大事なことだと思っている。
 そういった意味では、長野県小布施町の桝一市村酒造場は、長野県、小布施町、そして、桝一市村酒造場という連関性の中で、酒だけでない付加価値を提供して、小布施町の観光客の増加にも貢献しているといえる酒造場が参考になると思う。
http://www.masuichi.com/index.htm
 お酒の好きな診断士さんは、飲むだけでなく是非自分の得意分野として、酒造業界を先導していって欲しい。
 どちらかというと、下戸なunizouにはなじまない仕事かな・・・?